2008年3月12日 (水)

最後だ。君を、思い出そう


もし、自分が余命幾許もないと分かったら。

家族は、友人は、私が死んだら悲しむだろうか――。


何とはなしに、そんな風に考えることがあります。
(風邪などで身体が参っている時、弱気になっている時が多いですが)

私は、人が悲しむ姿を見るのが苦手です。
悲しむ人を見ると、自分も悲しくなるから。
映画でもドラマでも、人が泣くシーンを見ると一緒になって泣いています。
「となりのトトロ」でメイちゃんがお姉ちゃんとケンカして泣くシーンですら泣くような、3歳児並みの涙腺の持ち主です。

アニメですら駄目なのですから、それが親しい人なら尚更です。
私が死の床で「これが運命だからしょうがない」と笑って見せても、彼らはきっと悲しむでしょう。
悲しむ姿は見たくないから、もしそうなったら何処かへ消えてしまおうか。
そんなことまで考えたりもします。


「象の背中~秘密~」 (御徒町鳩/Wingsコミックス)の主人公である矢口も、死を宣告され、最愛の人から離れる決心をします。
真実を伏せ、嘘までついて別れ、たったひとりで死んでゆく――。

矢口は、そうまでする理由を「自分は弱いから」と言います。
確かにそうかもしれません。
でも、弱いだけならきっと耐えられなかったでしょう。
恋人の明日香を大切に思う気持ちと、大切な思い出があったからこそ耐えられた。
死の淵で「きみのことを思うくらいしか、することがないよ」と言う矢口の人生は、きっとしあわせなものだったに違いありません。

ただ、矢口からの長い長い恋文を受け取った明日香の表情に心が痛みます。
矢口がもう少し強かったなら、残り少ない時間をすべて、置いて逝かれてしまう明日香のために使えたのではないか。そんなことを考えてしまいます。


ちなみにこれが御徒町鳩さんの初コミックスとの事です。
少し粗い画風で、正直なところ私好みではないのですが、カメラアングルと、登場人物の生き生きとした表情がすごく印象的で魅力的。
明日香に惚れそうになりました。




追記:
この物語は、言わずと知れた秋元康氏の小説「象の背中」のスピンオフ作品です。
原作の方には賛否両論あるようですが、原作に納得がいかなかった方にこそおススメです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«蔵書管理してみた